母親の亡くなった伯母が、供養してほしくて現れました。

私が小学1年生のときのことです。

当時、2階建ての我が家には、1階にある和室の中に、2階へ続く階段がありました。

この8畳の和室に、親とこども2人の計4人で寝ていました。

ある晩、夜中にフッと目が覚めました。他の家族はみんな寝ています。

私は起き上がって、なにげなくあたりを見ました。

すると、和室の壁面を斜めに横切っている階段の上に、背中に白い大きな羽をつけた天使がふたり、こちらを見て座っています。

とてもきれいな天使でした。

青い目に金髪です。

透けるように白い肌をしていました。

後から、どうして「天使」だと思ったのか自分でも不思議でした。

しかし、一目見て「天使だ」と思ったので、以前に本か何かで天使の絵を見ていたのだと思います。

部屋の中は、物音ひとつしません。

家族はみんな眠ったままです。

私は、怖くて言葉を出せずにいました。

階段がある壁の反対は、壁一面が押入れになっていました。

なぜか天使たちを前にして、私は後ろを振り向きました。

すると、2間の押入れ一面にクリスマスツリーなどに飾るオーナメントのような赤いきれいなひもが、縦横斜めにびっしりと網のようにかかっていました。

突然、真っ暗だったテレビの画面に白い文字が現れます。

何行にもわたって何かが書いてあり、早いスピードで画面を流れて行きます。

いつのまにか天使たちの姿は消えています。

押入れ一面にあった赤い網も消えています。

ここで初めて、私は声を出すことができました。

「おかあさん」

母親は目を覚まし、気がつくとテレビの文字も消えており、部屋はいつもの部屋でした。

「どうしたの 早く寝なさい」と母親。

「天使が階段のところにいて、押入れのところに、赤い網みたいなのがいっぱいあった」と私。

「テレビにも字がいっぱい映っていて、流れていた」

母親は私の話を聞くと、「もう寝なさい」といい、私は現実に戻ったことに安心してふたたび眠っていきました。

朝になり、私の様子を見ると、魂が抜けたようになっているので、母親は学校を休ませることにしました。

朝ごはんを食べた後、母親は出かける支度をして、私たちはバスに乗って街に向かいました。

バスを降り、「どこに行くのか」と思いながら母親の後をついて行くと、狭い小路を入り、1軒の家の前に着きました。

その家には年を取ったおばあさんが住んでいました。

そのおばあさんは、母親が言うには、「仏様とお話ができる人」でした。

家の中に入り、仏壇が置いてある部屋に通されました。

仏壇を背にしておばあさんが座り、その前に母親と私が座ります。

仏壇にはお供え物がいっぱいあります。

部屋の中が薄暗かったのを今も覚えています。

一種独特な、日常を離れた雰囲気の部屋でした。

母親は、おばあさんに、私が夜中に起きて怖い思いをしたことや、今朝起きてからも私が血の気がない顔をして力が抜けたような状態になっていることを説明しました。

おばあさんは母親の話を黙って聞くと、体を仏壇のほうに向け、小さな声で仏壇の中の仏様に話しかけています。

お伺いを立てているようです。

話し終えると首を傾けてじっとしています。

仏様の言葉を聞いているようです。

部屋の中は物音ひとつしません。

しばらくして、おばあさんは体を私たちのほうに向け、母親に言いました。

仏様が言われるには、「母親の亡くなった伯母さんに当たる人が、誰にも供養してもらえなかった」そうです。

それで、「母親に供養してほしくて、私のところに来た」のだそうです。

母親が言うには、「今まで私以外のだれも供養しなかったから、私が供養してきた。でも、『もうしなくていいか』と思って、今年は供養しなかった」そうです。

母親のところに来ればよかったのにどうして私のところに来たのかわかりません。

また、我が家は浄土真宗の家で、毎朝仏壇にごはんとお水を供えてお経をあげる家でした。

母親の亡くなった伯母という人も同じ宗派の人でした。

それなのにどうしてキリスト教の天使が現れたのか今でも不思議に思います。

幼いわたしに恐怖心を与えないためだったのでしょうか。

でも、しっかり怖かったです。

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